AI創薬は、米国を筆頭に日本でも広がりを見せる注目の薬の開発手法。ベンチャー企業・大手製薬会社とも規模を問わず、AI(人工知能)技術を用いた創薬への投資や研究へと参入しており、市場規模も拡大中です。

AI創薬が注目される背景には、成功率の低下やコストの高騰という創薬の課題があります。AIは、高いデータの処理力で大量の既知の情報から新たな見解を導き出し、創薬のプロセスを劇的に効率化できる可能性を秘めています。特に基礎研究フェーズのAI活用はこれからで、標的候補とその仮説生成には大きなブレークスルーのチャンスが広がっています。

そうした創薬への新しいアプローチとして、FRONTEOは仮説生成に特化したAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory」を立ち上げ。AIとバイオロジストの融合で、新規性・成功確度の高い標的候補とその仮説を生成します。

AI創薬とは - 製薬企業の導入の動きが加速

AI創薬とは、AI(人工知能)技術で新薬の開発・研究プロセスを推進するアプローチです。

AIの長所である大量のデータ処理を活かすことで、膨大な研究情報や分子データを効率的に解析でき、有望な新薬候補の発見や創薬プロセスのスピードアップが見込めます。

研究・開発のプロセスを大幅に効率化できれば、開発期間の短縮やコスト削減につながり、新たな治療法や薬剤の発見、難病の治療への貢献が期待できます。そのため、製薬企業が創薬にAIを導入する動きが進んでいるのです。

いまの創薬の主流は「First in class」

創薬分野で成功するためには、「First in class」の戦略が必須です。「First in class」とは、従来にないアプローチ等で発見する新しい作用機序などの薬です。

これまで多くの日本の製薬会社の医薬品開発はBest in class(First in classを先行品として踏襲し、より薬効や安全性を高める)でした。First in classは画期的な着想のため開発の難易度は高くなりますが、認可・上市までたどりつけば類似の薬品との競争もなく、売上が期待できます。薬価算定においても「画期性加算」の加算率は高く、新薬開発へのインセンティブとなっています。

しかし、First in classに必要な新しいアイデア、つまり、新規性の高い標的分子を提案するのは非常に難しいのが実態です。

創薬の課題とAI創薬が期待される理由

創薬、すなわち医薬品の開発には長い期間と大きなコストがかかる上、上市への成功率が下がってきていることも大きな課題です。

そして、大量のデータ処理が得意なAIは、医薬品開発においても臨床試験などで導入が進み、近年では候補化合物の最適化でも活用されるなど、既に開発期間のスピードアップに貢献しています。

ただし、これはパイプライン(新薬候補)が見えてきた後のフェーズの話。「First in class」の創薬の成功率のアップには、創薬のスタート時点のターゲット選定と、研究開発の道筋を決める仮説の生成が不可欠。そこにこそ、AIの活用が期待されるのです。

創薬の前半フェーズでのAI活用が急務

厚生労働省の医薬品開発におけるAI活用に関する資料でも報告されているように、創薬のスタートとなる基礎研究のフェーズでは、AI活用がまだ進んでいません。

出典:厚生労働省「医薬品開発におけるAIの活用について」https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000926770.pdf

基礎研究フェーズのターゲット選定では、研究者が論文などを元に検討を重ねますが、個人の知識頼みで、バイアスもかかるなどの課題があります。重要となる疾患メカニズムの予測(ターゲット候補と疾患とのつながりの推定)の負担も大きく、その仮説を提供するAI創薬支援企業を、日本だけでなく世界でも見つけることは非常に困難です。

創薬の成功を支援する - FRONTEO Drug Discovery AI Factory

創薬の始まりの、アイデアの着想や標的分子探索・選定の課題のためにFRONTEOが立ち上げたのが、AIで創薬を支援する「Drug Discovery AI Factory」。創薬研究で新しいアイデアや方向性を生み出すための仮説を生成し、持続的に供給するプラットフォームです。

創薬の起点となる「仮説」の生成を可能にするDDAIF

新薬の開発を始めるための仮説には、
・標的分子: 疾患との関連が予測される遺伝子・分子など
・疾患メカニズム: 標的分子がどのように疾患に関連するかなど
・患者情報: 対象と考える患者群ゲノム情報や疾患、症状など
・安全性情報: 候補となる薬剤の毒性など
・フィジビリティ: 実験モデル提案など
などの要素をすべて考慮する必要があるとFRONTEOは考えます。

「Drug Discovery AI Factory」では、膨大なデータ解析を強みとするAIを最大限活用することで、標的分子候補から作用機序の解析、関連する疾患のゲノム情報や新薬の安全性とその実験モデル提案まで 、一気通貫して仮説を生成することが可能になります。

AI×バイオロジスト

FRONTEOが医薬品開発という専門性の高い領域で情報を解析し、革新的なアウトプットを導き出せるのは、創薬・AIの双方に精通したバイオロジストが存在するからです。

FRONTEO Drug Discovery AI Factoryの研究者チームはライフサイエンス分野の豊富な知見を持つバイオロジストで構成。製薬会社のニーズを深く理解し、自社開発のAIエンジン・アプリケーションによる独自の解析手法を駆使して、仮説生成を実現します。

5つの解析手法で創薬を支援 DD-BKM

FRONTEOの自然言語処理AI「KIBIT」と創薬研究者の融合である「Drug Discovery Best Known Methods(DD-BKM)」。この手法から新たなヒントを獲得しながら仮説を生成していきます。

重複差分解析 ~疾患ネットワークを比較して共通・固有のパスウェイを見出す~
二次元マッピング解析 ~医学論文をAIで解析し、概念的な類似性でマッピング~
ベクトル加算解析 ~自然言語的アプローチで、重要な因子を見出す~
多面的解析 ~多面的な項目を網羅的に解析し、遺伝子の創薬標的としてのポテンシャルを分析~
Virtual Experiments ~遺伝子を仮想的にノックアウトし、パスウェイの変化をシミュレーション~

FRONTEOがめざすAI創薬と今後の展開

創薬の始まりである仮説に重要なのは、新規性と成功確度です。FRONTEOのDrug Discovery AI Factoryでは、AIが提示する人の想像を超えたヒントから、研究者の経験と知識で、単なる候補リストではない新規性と成功確度の見込める仮説に仕上げます。

FRONTEO Drug Discovery AI Factoryは、仮説生成に特化したプラットフォームとして、これからの創薬プロセスにAIを組み込んでそのコストを圧倒的に短縮し、創薬の分野でもさらなるAIの社会実装を進めていきます。

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