世界初の言語系AI医療機器の開発に取り組む

株式会社FRONTEO ライフサイエンスAI CTO 豊柴博義インタビュー

2021年4月、FRONTEOはAI医療機器「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の臨床試験を開始しました。本機器は、言語系AI医療機器として世界初の製造販売承認取得を目指しています。ライフサイエンスAI CTOの豊柴博義に、本プログラムの概要と開発の経緯、実用化により期待される効果について聞きました。

■ 10分の日常会話から認知症の有無を判定

━━━ 「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の概要についてご紹介ください。

 本機器は、通常の診療場面での医療スタッフと患者の間の10分程度の日常会話をAIが解析し、認知症の有無をスクリーニングするものです。探索試験では、専門医の判断と同等レベルの診断精度が確認されています。
従来、認知症を診断する際は、MMSE(Mini-Mental State Examination)などの神経心理学的検査が行われます。しかし、これらの検査は、時間がかかり、医療者・患者双方にとって負担が大きい上に、認知症診断の専門的な知識や経験を持つ医師や臨床心理士しか行うことができず、専門医の少ない地域などではなかなか検査を受けられないといった課題がありました。また、専門医等の受診が可能な場合でも、何度も繰り返すと患者が回答を記憶してしまい、正確な判定が難しくなる点も問題視されていました。一方で、我々が開発した機器は、通常の会話のデータを用いるため、検査の負担が少なく、また専門医以外の医師でも使用でき、認知症診断を受ける機会の大幅な拡大が可能となります。
認知症は現時点では根治治療の方法がなく、早期発見・早期治療により進行を遅らせることが、患者本人や家族のQOL維持のために極めて重要です。本機器の実用化により、それに大きく貢献できると考えています。

株式会社FRONTEO
ライフサイエンスAI CTO
豊柴 博義

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