丸石製薬株式会社様:創薬研究開発を加速するFRONTEOとの戦略的業務提携とその展望

2026年09月03日配信

丸石製薬では、周術期領域で培ってきた強みを生かしながら、救急・急性期やがんサポーティブケアなど、新たな領域への展開を進めています。その中で、限られたリソースで有望なシーズを見極め、質の高いパイプラインを構築することが課題となっています。
本講演では、AI活用に着目した背景やこれまでのFRONTEOとの取り組み、戦略的業務提携に至った経緯、そしてAIを活用した今後の創薬研究開発の展望について紹介いただきました。

ご講演者

DSC04636   丸石製薬株式会社
代表取締役社長執行役員
井上 勝人 様

アーカイブ動画

 

新たな領域への展開で直面した「リソースの壁」

 

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当社は、長年にわたり周術期領域に研究開発リソースを集中し、領域特化型の戦略を進めてきました。一方、周術期は治療満足度が比較的高い成熟市場でもあり、今後の成長に向けて救急・急性期やがんサポーティブケア、小児医療などへ研究開発領域を広げています。

新たな領域では、疾患や治療に関する知識を蓄積し、基礎的なサイエンスから理解した上で、有望な開発候補を見極める必要があります。しかし、当社の研究開発人員は60~70人程度であり、すべての候補を人の手だけで詳細に評価することには限界があります。


そこで、限られたリソースを補完しながら、より多くの候補を効率的かつ高い精度で評価する手段として、AIの活用に着目しました。

 

AIで創薬プロセスを変える―FRONTEOとの共創から戦略的業務提携へ

 

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当社では、外部の有望なシーズを導入し、医薬品として育てていくことをパイプライン構築の重要な柱としています。

そのため、世界中に存在する開発候補の中から、自社の戦略に合致した有望なシーズをいかに早く見極めるかが重要になります。

 

その課題に対し、AIには、特定疾患に対する有望な標的遺伝子の探索だけでなく、開発中の化合物の効果や副作用の予測、バイオマーカー探索、さらには適応拡大まで、創薬プロセスのさまざまな場面での活用を期待しています。

 

 

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一方、自社だけでAI環境を構築するには、学習データや人的リソースなどの課題があります。

こうした背景から、AIの専門性を持つ外部パートナーとの協業によって、創薬研究開発を高度化する方針を選択しました。


各社の学習用データソース、協業に際してのコミュニケーションの取り易さ、アウトプットの権利の帰属についての考え方、費用等を総合的に勘案し、FRONTEOとの協業を開始しました。

 

 

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FRONTEOとの最初の取り組みは、2023年に開始したドラッグリポジショニングに関するプロジェクトでした。

KIBITが導き出した仮説を当社でウェット実験によって検証したところ、その仮説の確からしさを確認することができました。この成果がKIBITへの信頼につながり、第2弾としてバイオマーカー探索へと協業を拡大しました。

 

こうした実績を積み重ねる中で、次に取り組んだのが、当社の大きな経営課題でもある導入候補品の評価です。これまでの個別プロジェクトで培った信頼関係をベースに、より踏み込んだ形でFRONTEOと「戦略的業務提携」を結ぶことになりました。

 

◇参考:FRONTEOのプレスリリースより
・丸石製薬とFRONTEO、ドラッグリポジショニングに関する業務委託契約を締結
https://www.fronteo.com/news/20231107

・FRONTEOと丸石製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用したバイオマーカー探索に関する共創プロジェクトを開始
https://www.fronteo.com/pr/20250109

・FRONTEOと丸石製薬、創薬研究開発における戦略的業務提携契約を締結
https://www.fronteo.com/news/pr/20260216

 

「もう少し結果を見てから」が生む、導入候補品評価のジレンマ

 

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今回の戦略的業務提携で中心となるのが、導入候補品の評価です。


これまで当社でも、ある疾患について複数の導入候補品を評価したものの、最終的にどれも導入交渉へ進めなかったケースがありました。

 

 

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その要因の一つは、新たな領域において、疾患や治療に関するサイエンスを十分に理解し自信を持って判断することの難しさにありました。


判断に必要な情報が十分でなければ、「もう少し臨床試験の結果を見てから判断する」という慎重な投資判断になりがちです。しかし、良好な臨床成績が示されてからではアセットの価値が上昇し、資金力のある大手製薬企業との競争になる可能性があります。

こうした課題に対し、今回の戦略的業務提携では、AIを活用してサイエンスの観点から有望な候補を見極めることで、早い段階での導入判断につなげていくことを目指しています。

 

単発のAI解析から、継続的なパートナーシップへ

 

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具体的には、FRONTEOが疾患に対する有望な標的ターゲットを提示し、その結果と当社が保有する世界の開発品データベースを組み合わせることで、サイエンスの観点から有望な導入候補品を抽出していきます。

今回の提携の大きな特徴は、必要な時に一度だけAI解析を依頼するのではなく、FRONTEOが継続的に一定のリソースを確保し、当社の導入候補品評価を支援する点にあります。

実際に導入・開発へと進んだ場合には、開発マイルストーンに応じて成果を共有する仕組みとしています。

 

両社がリソースを投下し、その成果を共有していく。こうした従来の業務委託を超えた枠組みが、「戦略的業務提携」とした大きな理由です。

 

 AIでリソースギャップを補い、日本発の創薬イノベーションへ

 

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今回の提携で目指しているのは、単なる業務効率化ではありません。

AIによって基礎研究に関わる人的リソースの不足を補い、効率的かつ質の高い評価スキームを構築することで、サイエンスの確からしさを軸に、開発早期の有望なシーズを獲得する。そして、そのシーズを自社の強みを生かして磨き上げることで、日本発の創薬イノベーションにつなげたいと考えています。

今後は、導入候補品の評価だけでなく、研究開発からLCM(ライフサイクルマネジメント)まで、創薬プロセス全体でKIBITをはじめとするAIを最大限に活用していきます。
相対的に規模の小さい企業であっても、AIと人の知見を組み合わせることで、患者さんの福音となる新たな製品を届けることができると信じ、今後も取り組んでいきます。

 

(講演日:2026年7月23日)