「AI×自然言語」が実現する患者の尊厳に配慮した認知症検査

慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 教授/慶應義塾大学病院 副病院長 三村 將 氏 インタビュー

2021年4月、FRONTEOはAI医療機器「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の臨床試験を開始しました。臨床試験の治験調整医師である三村將教授に、自然言語解析を認知症診断支援に用いるメリットや、臨床現場での活用の可能性についてお話しいただきました。

■ 「言葉」はアルツハイマー型認知症の評価指標に向いている

━━━ FRONTEOの「会話型 認知症診断支援AIプログラム」は、医師などの医療者と患者との間で交わされる会話、すなわち自然言語をAIが解析します。現在、AIを活用した認知症診断支援には、画像や声の抑揚、表情などを用いる多様な選択肢があり、それぞれに研究も進んでいますが、その中で先生が言語に注目された背景は。

 認知症の診断を行う際に用いられる検査には、スクリーニングとして用いられる神経心理学的検査(認知機能検査)であるMMSE(Mini-Mental State Examination)、長谷川式簡易知能評価スケールなど、様々な方法があります。これらの検査を実施する際の問題の1つは、患者にとって「検査をさせられている感」が強いことです。そのため、特にプライドの高い人や教育水準の高い人などは、検査や一部の質問内容に対して抵抗感を抱くケースがあります。そうした人々を含めてユニバーサルに使えるような診断支援ツールが必要でした。
検査を強いられるのを嫌って、メモリークリニックなどの受診を避けるという人は結構います。また、検査をする医療者側も、決して好んで負担の大きい検査や患者のプライドを傷つける質問をしたい訳ではありません。
本AIプログラムのような自然会話に基づく評価は、検査をする側・される側の双方にとって非常に負担が少なく、検査を受ける患者の尊厳や気持ちに配慮しつつ、通常の診察を通して診断に資する情報が得られる点が、大きなメリットです。

慶應義塾大学 医学部
精神・神経科学教室 教授
慶應義塾大学病院 副病院長
三村 將 氏

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