認知症の診断を行う際に用いられる検査には、スクリーニングとして用いられる神経心理学的検査(認知機能検査)であるMMSE(Mini-Mental State Examination)、長谷川式簡易知能評価スケールなど、様々な方法があります。これらの検査を実施する際の問題の1つは、患者にとって「検査をさせられている感」が強いことです。そのため、特にプライドの高い人や教育水準の高い人などは、検査や一部の質問内容に対して抵抗感を抱くケースがあります。そうした人々を含めてユニバーサルに使えるような診断支援ツールが必要でした。 検査を強いられるのを嫌って、メモリークリニックなどの受診を避けるという人は結構います。また、検査をする医療者側も、決して好んで負担の大きい検査や患者のプライドを傷つける質問をしたい訳ではありません。 本AIプログラムのような自然会話に基づく評価は、検査をする側・される側の双方にとって非常に負担が少なく、検査を受ける患者の尊厳や気持ちに配慮しつつ、通常の診察を通して診断に資する情報が得られる点が、大きなメリットです。